2010年8月22日日曜日

ラプンツェルの翼Ⅳ

ここ最近投稿があまりありませんでした。
でも、本を読んでいないわけではなく、読んだけど投稿する時間が無かっただけなのです。
なんとか、全部投稿してしまいたい。


著者:土橋真二郎

この人の本には毎回哲学がテーマになっています。

今回のテーマは道徳のようでした。

物語の中では「天使」と「人間」が戦うのですが、それぞれ持っている道徳律が異なります。
「天使」は功利主義を唱えています。
功利主義とはベンサムによって唱えられた哲学です。
最大多数の最大幸福。
1人死ぬことと5人死ぬこと、どちらか一方選ばないといけないとしたら1人死ぬほうを選びましょう
功利主義では社会全体の幸福を考えたときに、それが最大化されるほうを選びます。

こんな実話があるらしいです。
イラク戦争で偵察中の米兵が子供連れの羊飼いに見つかってしまいます。この民間人を放置したら、フセインの軍隊に通報されて、自分たちが包囲されてしまう可能性があります。だからといって、ここで二人を殺して口を封じるのはあまりにも残忍です。
結果的に米兵は二人を見逃してそのまま行かせました。そしてフセイン軍に攻撃されて、米兵16人が死亡しました。
ベンサムによる道徳律では、最初に民間人二人を殺しておくべきだったということになります。

ラプンツェルの翼Ⅳにでてくる「人間」も先ほどの米兵と同じように「天使」殺すことを拒みます。
これはカントの道徳律に近い。
カントは、結果ではなく動機が重要だといいます。
人間が元々持っている道徳律は絶対であり、それに違反してはいけないといいます。
たとえば、殺人犯が貴方の友達を殺そうとしていて、貴方はその友達を家に匿っているとします。
殺人犯がインターホン越しに「友達はお前の家にいるのか」と聞かれたら「YES」と答えるのがカントによる道徳律の正しい回答です。嘘をついてはいけないという道徳律があり、どんな状況下でもそれは破ってはいけないといいます。(しかしながら、相手が勘違いするような言い方をするのはOKだそうな)

ラプンツェルの翼Ⅳでは「天使」が最終的に自殺することで終息しています。「天使」は最後まで功利主義を貫き通したようです。

哲学思想を分かりやすく物語に落とし込むのはとてもすごいことです。著者のアイデアに感服です。
でも、その性質上、この著者の話はいつも陰湿です。
全員が幸せなハッピーエンドにはなりません。まるで現実世界のように。


0 件のコメント:

コメントを投稿